エセ科学に騙されるな — 科学的な根拠

2015年04月20日

 3月20日に書きましたが、健康への効果を消費者庁に届け出れば事業者の責任で表示出来る新しい食品表示制度「機能性表示食品」が4月1日から発足しました。従来売られていたいわゆる「健康食品」、「健康補助食品(サプリメント:Supplement)」の中には、科学的根拠(エビデンス:Scientific evidence)の不十分な商品もあります。

 例えば、コラーゲンは沢山のアミノ酸で構成された大きな分子量をもつタンパク質で、消化管からそのままの形で吸収されません。タンパク質は消化器官でアミノ酸または少数のアミノ酸が繋がったペプチドに分解されてから吸収されます。ばらばらなアミノ酸になりコラーゲンのままで、 お肌や関節に届く保障はありません。嘘だと思ったら独立行政法人国立健康・栄養研究所(以下、栄養研)のホームページ:www.nih.go.jp/eiken/をご覧になって下さい。栄養研はいわゆる「健康食品」に関する論文や報告など世界中から広く収集し、精査し、評価し、その結果を公表しています。

 科学的根拠がないのに、なぜ「エセ科学」を信じるのでしょうか?科学者は「○○は絶対にあり得ない。」との表現は使いません。何事でも原発神話のように「100%安全」とは真っ当な科学者は言いません。この世の森羅万象は100%安全でないと考えるからこそ、事故が起こらないように、事故が起きた場合には被害を最少限度にくい止めるための対策を立てることが出来るのです。
 
 「エセ科学」を利用して売り込んでいる人たちは、たいてい科学用語を使います。曰くマイナスイオン、プラズマ、波動、光合成など、発明者には立派な肩書きが付いていることもままあります。もっともらしい科学用語を使おうと、立派な肩書きを持つ人の推薦であろうと、「仮説設定と検証を繰り返すことにより真実を見極めようとする姿勢」=「科学する心」から逸脱した、筋道の通らない主張は科学ではありません。

  私達消費者はこれからは自己責任で「○○は健康によい。」と謳われる食品を選択しなければなりません。事業者から提供される情報、宣伝文句の中から科学的根拠を読み取り、正しく見極めないと健康を損ねるどころか命も失いないかねません。科学的根拠とは、(1)専門家の話だけでは不十分。(2)限られた体験者の話ではさらに不十分。(3)動物実験だけでは不十分。(4)相当数の人を使った臨床データは必須です。(5)誰が実験しても、同一条件下で何度実験しても同じ結果が出る再現性が不可欠です。       
 
 情報の信頼性。上に行く程信頼性が高く、下に行く程信頼性は低くなります。

複数の研究を集めて検討した総合評価 — 有効性が確認されれば「実践段階」に進めます。

臨床試験 — 相当の人数(100名以上)を使った「治験=治療の臨床試験」に近い試験です。(対象区に使う偽薬<プラセボ:Placebo>効果が高いので、二重盲検法が望ましい)。

追跡調査 — 健康な人の大規模集団(数万〜数十万)の食事や生活習慣を予め調べて長期間の追跡調査を行い病気の発症を確認します。

後ろ向き研究 — 例えば胃がん患者群(グループ)と胃がんではない人たちの比較群とで、過去での緑茶の摂取量を思い出してもらう。(過去の記憶が二つのグループで偏りがあれば、誤った結果がでる。)

症例報告 — 少人数の患者に新しい治療法が効いたのは、同時に受けていた従来の治療法の影響か、病気の自然な経過かはっきりしないから、一般に信頼度は低いです。

権威者の主観的意見 — きちんとした研究の裏付けなしで宣伝する学者が多い。要注意!!。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一