エセ科学に騙されるな — メデアの情報を見抜く力(Media literacy)

2015年04月30日

 かって「ココアは体によい。」とテレビ番組が火付け役となり店頭からココアが消えたことがありました。2007年には「納豆にダイエット効果有り」のテレビ番組で、私の大好きな納豆が入手難になりました。テレビなどのマスメデアで煽られてブームになるなど科学的根拠に欠ける健康情報が広がる現象をフードファテイズム(Food faddism)と言うそうです。あまりお金を掛けずに視聴率を取れるので、頻繁に食や健康に関する番組が放映されますが、科学的な手順を無視したものが多過ぎます。一種の娯楽番組だと思って見て鵜呑みにしなければ無難です。幸いなことにテレビなどマスメデアで引き起された根拠のない食のブームは1ヶ月とは続いたことはありません。

 科学的根拠を検証するには、次の3点の情報を得ることが理想ですが、実際は私達消費者には至難な作業です。

  1. 試験管内の試験データ、有効成分の同定、出来れば抽出、精製、化学構造の確定。
  2. 相当数(100個体以上)の検体を使った動物試験データ。
  3. 第三者の検定基準を満たす大学あるいは各種試験研究機関による人を使った臨床データ。これも100人以上の被験者を使い、対象区(control)に使用する偽薬(プラセボ:placebo)効果が結構高いので、二重盲検法で効能を検証するのが望ましい。(1)と(2)の段階だけでは不十分です。(3)は必須ですがここまでのデータを出せる業者は極少数だと思います。いわ ゆる「健康食品」のケースでは殆どありませんでした。

 以下に述べるのは従来のいわゆる「健康食品」の宣伝文を検証する場合のチェックリストでしたが、新しい食品表示制度で事業者が「機能性表示食品」を販売する場合に事業者が提供する宣伝文句・情報を検証する時の参考にもなると思います。

  1. 本になっているからと言って必ずしも信用出来ない。新書版程度の本は5百万円足らずで2千部は出版出来ます。
  2. 日本も含む各国の特許取得または申請の内容を精査する。効能を実証する上で無意味な特許が多い。
  3. 実証データを提供している大学や研究機関の格付けを検証する。実在しなかったり怪しげな組織が多いです。
  4. 大学や研究機関の試験データもデッチアゲであったり、改竄されているケースもあります。
  5. 学者や研究者の信頼性を検証する。お金を貰って何でもやるエセ学者、研究者も存在しています。例えば、タバコ業者からの資金で喫煙の有用性や無害を証明する試験データや、化学(農薬)メーカーの資金で遺伝子組み換え品種の推奨試験データの作成例があります。医薬品や医療器機の製造販売で医薬品医療機器等法の認証を受ける為の治験でさえも製薬会社と大学とが癒着して製薬会社に都合の良いデータが造られた事例が最近も報じられています。
  6. 学会での発表や学会誌への掲載は、その研究の内容がその学会で認められたことを必ずしも意味していません。学会によっては学会の会員なら学会で発表出来るし、掲載料を払うと学会誌に掲載出来ることもあります。
  7. 読者が錯覚を引き起こすように文章や動画を制作していないかを検証する。例えば、健康で山歩きを楽しんでいる画面に特定の商品を並べて、あたかもその商品が足腰の痛みを緩和するとか、足腰の若さを保つとかを連想させる方法や、抗酸化作用の説明とある特定の商品とを併記して、読者・視聴者に勝手にその商品に抗酸化の効能あるかの如き連想をさせる等。

 上述のことを検証したり、新聞、雑誌、テレビなどのマスメデア、インターネットの情報等に騙されない為に「メデアの情報を見ぬく力(Media literacy)」を養うことが大切です。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一