食育と機能性表示食品

2015年06月20日

 人類が猿から進化する過程でネアンデルタール人を含めて20種を越える競争相手の種が存在していたが、人類は雑食することで激しい気候変動を切り抜けて唯一生き延びることが出来た種です。パンダは腸内に特有の微生物が住んでいるので、竹だけを食べて生きていけます。人類は雑食がゆいに栄養と安全を考えて食事をしなければならなくなったのです。私達の祖先は命を賭けて安全な食物を選んできました。しかし食べて直ぐに症状の出る急性毒性のある食べ物は避ける事が出来ましが、慢性毒性のある塩,糖質、脂質を含む食べ物は排除出来ませんでした。狩猟時代には消化の良い動物の肉に重きをおく食事をしていましたが農耕するようになり炭水化物を余計に摂るようになりました。長い間絶えず飢餓状態にあった人類は、先進諸国では飽食の害が問題になっています。

 今おいしい食べ物を好きなだけ食べている日本人が、摂取熱量では敗戦前後の食糧が不自由した時代の摂取熱量を下回り、老いも若きもタンパク質不足の低栄養状態にあるのは誠に由々しきことです。今こそ科学的な素養(Scientific literacy)に裏打ちされた「食育」が必要です。2005年に成立した食育基本法では、食育とは生きるための基本的な知識であり、知識の教育、道徳教育、体育教育の基礎となるべきもの、と位置づけられており、単なる料理教育ではなく、食に対する心構えや 、栄養学、伝統的な食文化、食が出来るまでの農畜水産物等の一次産品およびそれらの食材を調理、加工する二次産品の生産、出来あがった食品の流通までの総合的な教育です。

 健康で長生きをしたい私達に向かって、TV、新聞、雑誌などのマスメデアや書物、インターネット上の情報などが、手を換え品を換えて発信されております。怪しい情報の多いこれらの玉石混交の情報のなから正しくて本当に私達にとって役に立つ情報を選択しなければ、食品の場合には健康を損なうどころか命を失いかねません。TVで放映されたからや、新聞や書物に書いてあったからといって無防備に信じてはなりません。見分ける力を高めるには正しい「食育」を受けることが大切です。

 現在の飽食の時代でも不規則な食生活や偏った食生活をしている為に、低栄養状態の日本人が多いと申しました。健康に不安を抱いている人達は、バランスのとれた食生活を送るよりも、手っ取り早く“いわゆる”健康食品、健康補助食品(サプリメント)から衣替えした「機能性食品」の服用に走る傾向があります。以下の記事は「機能性表示食品」を選ぶについて一歩立ち止まって考える上で参考になる記事です。

 市民団体「食の安全・監視市民委員会」は6月1日に、6月中旬に販売が開始される機能性表示食品制度で、届出が受理された26商品のうち少なくとも17商品は、健康への効果(機能性)を示す科学的根拠が不十分だったリ、表示方法が不適切だったりすると消費者庁に疑義情報を提出したと発表した。それによると、機能性の根拠を示す臨床試験の論文で専門家の審査(査読)がされていなかったり、効果があったとする実験結果だけを届け出て、効果がないとする別の実験結果を無視していたりする例があった。安全性の根拠には食経験(これまで一般にどれだけ食べられてきたか)を用いることができるが、1年未満など短期間の販売実績を根拠にしている商品があった。同団体は「都合の良い情報だけを提供している。こうした届出が認められると安全性に問題があり、効果もない健康食品が氾濫する」と訴える。(朝日新聞:2015.6.2)

 私達は自分の命は自分で守ると自覚して、食に対する正しい知識を養い、バランスのとれた食生活を日々実行して、寿命を縮めたり、歳を重ねてから寝たきりにならいように努めたいと思います。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一