ミラノ万博と日本食(和食)

2015年08月10日

 今イタリアのミラノで「食料とエネルギー」をテーマとする国際博覧会(万博)が開かれています。わが国はユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された「和食」を利用して日本の農産物、食材を売り込む絶好の機会として参加約150の国・地域・機関の中で最大規模のパピリオン(展示館)を設けています。

 ローマにFAO(国連食糧農業機関)の本部があるので、ミラノ万博の開催に先立って「食料を得る権利は基本的人権」との理念を確立して、ミラノ万博は飢餓対策や飽食による肥満問題など地球規模の課題を真剣に考える良い機会であり相応しい場であるとしております。即ち単なる物販促進の場ではないのです。わが国は例によって理念のないままに参加している気配があります。

 ミラノ万博によれば、地球上で生産される食料の1/3が、傷物などとして農場などで捨てられる他に、開発途上国に多いケースですが、食料の保管施設や流通設備の不備により,鼠などの動物に食べられたり、こくぞうむし等の虫害にあったり、腐敗したりで食料難に苦しむ人達の食卓に届いておりません。一方先進国では、例えばアメリカに出回っている食料の40〜50%もが無駄に捨てられ,その経済損失は約1千億ドルと推定されています。わが国では食料の輸入量あるいはお米の生産量に匹敵する量の食料が食べられるのに食べられずに廃棄されています。

 正しい食事とは、真剣に食料の生産に取組んでいる生産者の努力に見合う価格で食品を購入することです。巨大穀物商社などの流通業者により価格を叩かれて,生産者がその働きに見合う収入を得られていないケースが地球上のあちこちに見受けられています。農家が毎年種子を購入しなければならない一代雑種を供給している種苗業者は、国境を越える吸収、合併を繰り返し巨大化,寡占化しています。わが国の農業が彼らの支配下に入らないよう厳重に注意する必要があります。

 食料では消費者が安さだけを追求すると、農薬に汚染されるなど食の安全を無視した危険な食品を食べる羽目になります。原産地表示や包装食品であれば内容表示をしっかり確かめましょう。生産者の顔の見える「地産地消」は食の安全の意味でも望ましいことです。農地と住宅地が近接している横浜市は、葉もの野菜、果物、花卉などの「地産地消」の条件に恵まれています。

 全世界に蔓延るファストフードの反対理念として、その土地の食材,伝統的な食文化を見直し、小規模事業者を支援して、農畜産物のグローバリズムに反対する「スローフード」運動が,イタリアの北部ピェモンテ州ブラ(Bra)の町から始まりました。ミラノ万博ではイタリア本館の他に、「スローフード館」があり,子ども達が食についてじっくり学習出来る場を提供しています。

 「日本食」あるいは「和食」の定義は未だに明確ではなく、「ご飯に一汁二采」、「懐石料理」だ、いや「醤油を使って箸で食べる料理はみんな日本食」だとそれぞれの立場の違いで意見がわかれております。最近は海外では「すし」、「天婦羅」だけではなく「カレーライス」,「ラーメン」,はては「たこ焼き」等まで日本食としてもてはやされています。無駄に捨てる食料を減らすことと、「日本食」,「和食」とは何ぞやを改めて考えなおすべきだと思います。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一