WHO高齢者への支出は投資

2015年10月20日

アベノミクスの第三の矢(成長戦略)が放たれたかどうかも検証しないうちに、新第三の矢なるものを安倍首相が提唱しました。また戦前の一億国家総動員ではなく一億総活躍社会担当大臣を新設加藤勝信氏が任命されました。介護離職ゼロを目指すとも宣言しました。口先だけでのかけ声ではなく財源に裏打ちされた具体策の実行を期待しています。

時を同じくして世界保健機構(WHO)が高齢者への投資は経費ではなく「投資」であると考えるべきだとする報告書を公表しました(朝日新聞2015.10.06)。医療や介護などの費用負担(コスト)が強調され、高齢者の社会貢献が過小に評価されていると指摘し、高齢者を「重荷」とする差別的な考え方があると批判しています。WHOが紹介しているイギリスの研究によりますと、年金や医療・介護などの経費と、税金や経済活動を通じた高齢者の貢献とを比較した結果、高齢者の社会への差し引き貢献が約400億£(約7兆4600億円)になり、2030年には770億£(約14兆3600億円)になるとのこと。

ストレスが生じる問題が起きたときに精神的な支柱となり、困難な課題に直面したときに指導的な役割を担うなど、高齢者ならでの能力を評価しています。適切な医療や介護サービスで健康状態を改善することで、社会貢献できるようになるとしました。WHOでは、60歳以上の人口比率が今の12%から50年には22%になると予測しています。総務省の人口推計(2015年9月15日現在)よりますと日本の人口約1億2.740万人の26.7%に当たる約3、384万人が65歳以上の高齢者です。労働力調査によりますと、働く高齢者は2014年には681万人で過去最多になりました。65~69歳の男性50.5%、女性30.5%が働いているとのことです。

国勢調査ではNPOなどで無報酬で奉仕活動をしている人は無職に分類されます。奉仕活動をして無報酬の人や家事労働に従事している人を無報酬だとの理由で「無職」に分類するのは如何がなものかとの意見があります。高齢者で地域活動や学童保育やNPO活動等の奉仕活動をされる方々が増えております。高齢者が働ける場やワーキングシェア等で高齢者が働き易い環境を整えるほかに、NPO活動や地域包括センターなど通じた福祉・介護支援活動や地元の小中学校を通じての学童保育・社会教育支援活動など、高齢者が奉仕活動出来る場、環境の整備が早急に必要だと思います。健康で意欲のある高齢者は多いのです。

最近の若い女性の8人に1人が低栄養で、妊娠しにくく、お産では低体重の赤ちゃんを生んで次世代の健康に悪影響を及ぼすだけではなく、本人も病気に対する抵抗力が落ち、若くして要介護になる危険が高まるとの警告が出ています。太る事を極度に怖れて食べ物が溢れている今、敗戦後の食料事情が悪かった時代の摂取熱量を下回る食生活を送っているのです。BMI指数(体重kg÷身長m÷身長m)が18以下は要注意です。調和の取れた食事で、年齢にふさわしい必要な熱量を摂取し、良質なたんぱく質も必要量を摂り、適切な運動で筋肉をつけて基礎代謝を上げましょう。WHOのマーガレット・チャン事務局長は私達に「世界で最も健康な長寿を誇る日本」がその取り組みを世界に発信する国になることを期待しています。正しい食生活と適切な運動でこの期待に答えたいと思います。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一