集団的無責任体制からの脱却

2015年11月20日

国立近代美術館で藤田嗣治画伯の戦争画を観賞してきました。ソ連軍に惨敗したノモンハンの戦闘があたかも勝利したかのように描かれていました。一方アッツ島玉砕(全滅を言い替えました)やガダルカナル島での日本軍の兵士の死屍累々の情景やサイパン島のバンザイクリーフやスーサイドクリーフの民間の日本人が断崖から海に身を投げる情景を描いた絵画がありました。ノモンハンでの惨敗を隠蔽したために,その結果としてその失敗の教訓に学べず、その後の太平洋戦争での大失敗の原点となったとされています。

満州(今の中国の東北地方)は日本の生命線であると主張する軍部に乗せられて満州に侵攻し、その後蒋介石の国民党の軍隊を相手に泥沼の消耗戦に引込まれ、アメリカ等に石油を禁輸されて、相手の挑発に乗って第二次大戦に踏み込み、国土を焦土にされ,数百万の同胞を死傷させた指導者の責任は私達日本人自身によっては問われていません。この満州事変から1945年の敗戦にいたる時代の流れの節目節目で戦争をやめる機会はあったのですが、私達の当時の指導者がいつどのように戦争をやめるかを全く考えていなかったとは全く無責任の極みです。この私達日本人の体質は今にいたるも治っていません。

敗戦後も各分野で失敗の事実を公表せず、失敗の原因を冷静に究明・分析してその成果を次に活かすことが出来ず、失敗を隠し「なかった事」にして来たので、抜本的な手を打てず懲りずに同じような失敗を繰り返しています。行政や企業など組織を自己防衛する為の調査ではなく、失敗に関連する身内だけではなく、第三者が独立して調査の出来る仕組みづくりが不可欠です。即ち身内に都合の良い情報だけを提供する専門家や、有識者だけではなく、目先の損得を超越できる物事の本質を見据えて議論の出来る専門家と、業界とは無関係の市民が調査のまとめ役になれる仕組みづくりを急がなくてはなりません。

私達日本の国の外では、自分たちの考えている事だけを全てだとはせずに、相手を徹底的に研究して合理的な対抗策,作戦を練っています。多元的に想像力を働かせれば、あらかじめ多様なケースを想定出来るので、「想定外」などの言い訳は出てきません。ガダルカナル島やミッドウェー海戦での大惨敗のケースでは、指導層が自分達の思込みに囚われ、自分達とは発想が異なる相手の考え方を想像できず、相手の作戦を読めなかったのが原因だとされています。天皇に真実の情報を上げずに、わが国を戦争に駆り立て、国民の犠牲の少ないうちに戦争をやめなかった戦前,戦中の指導層の責任は追求されていません。私達は江戸時代末期から現在までの歴史を科学的、多面的に是非学び直しましょう。

今度のマンション施工偽装は、検査体制が粗雑なため,建設・不動産業界全体の構造問題となっております。20年以上も前から沢山の欠陥を指摘されてきた高速増殖炉「もんじゅ」の実施主体にイェローカードが出ました。秋田市のメーカーの有機肥料の10年前からの成分偽装が発覚しました。10年もの間メーカーも販売業者もきちんと製品成分を分析せず、日々の品質管理、品質保証を怠ってきたとは驚きです。厳しい国際環境の中で私達日本民族が生き残っていくには、極めて至難なことではありますが,私達の体質にしみ込んだ「集団的無責任」体制を一日も早く打破し,脱却しなければなりません。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一