虚弱(frail:フレイル)

2015年12月30日

日本老年医学会や厚生労働省は「虚弱」を「フレイル」と言い換えることにやっきになっております。日本語に虚弱と訳されている名詞frailty の形容詞frailを使って虚弱をフレイルと呼んでいます。お役所は「コンソーシアム」とか「クラスター」とかやたらにカタカナを使っていますが、概念を曖昧にして国民を煙に巻くには便利ですが,出来るだけ適切に概念を現せる日本語を使うべきだと思います。

11月24日に飯島勝矢東京大学高齢社会総合研究機構准教授の「フレイル予防からの健康寿命」〜何が勝負の分かれ目なのか〜と題するお話を伺う機会がありました。「老化」と「加齢」とは別物で、「老化」は生物が死に至るまでの間に起こる機能低下やその過程を意味します。「老化」は自己管理要因で75%は管理出来るが,「加齢」は生まれた瞬間から死ぬまでの時間の経過で、誰もが防ぐことは出来ません。

「老化」はその75%は自己管理で防ぐ=遅らせることは出来ます。「加齢」は暦をめくるごとに進みますが,「老化」は自己管理出来る生活習慣で「上手に老いる」ことは可能なのです。では何から始めるべきなのでしょうか?「食べるにこだわる」です。これは高級な食事を摂ることを意味しません、良質なタンパク質をしっかり摂り、バランスのよい食事を一日3食、出来るだけ時間を定めて食べる。しかもよく噛んで,その為には歯やお口の手入れ口腔衛生が大切になります。

3食きちんと食べると、血糖値が安定します。食事の回数を減らすと食後の血糖値が高くなり,高くなった血糖が脂肪に変わって太ります。ゆっくり食べると少量で満腹中枢を満足させるので食べ過ぎません。ダイエットに我慢は禁物で、大きな努力より、小さな習慣です。我慢すると太り易くなります。眠る3〜4時間前に食事を済まし、十分に睡眠をとること、睡眠不足だと食べ過ぎ,運動不足で太ります。自己習慣は意志2割,習慣8割です。決まった時間に食事すると共に軽いストレッチ運動をするのも忘れないで下さい。

10月26日世界保健機構(WHO)は、加工肉を毎日50g以上摂取すると大腸がんのリスクが18%上昇すると公表して大騒ぎになりました。間髪を入れず10月29日国立がん研究センターが日本人の食肉摂取量は赤肉で50g、加工肉で13gだから問題なしと発表しました。「年寄りは肉をたべるな」との嘘の栄養情報に騙されてはいけません。高齢者の痩せ(低BMI)は短命につながるとのデータがあります。若い頃に極端な痩せ願望に囚われての低栄養は老化を促進し、中年後に要介護につながり「健康寿命」を確実に縮めるとのデータもあります。身体の虚弱(フレイル)は低栄養と運動不足が原因です。

フレイルには「身体」の虚弱と「精神心理」の虚弱と「社会性」の虚弱の3種類があります。最近はサルコぺニア(sarcopenia)=筋肉減弱症が取り上げられるようになりました。身体の中に入るのを極力減らすべきなのは毒と病原体だけで、いかなる食品、栄養素も、不足は最悪、過剰も害をもたらします。バランスの取れた中庸の食事が大切です。「精神心理」の虚弱と「社会性」の虚弱については別の機会に申し述べます。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一