アレッポの石鹸

2016年03月01日

シリア第二の都市アレッポの争奪戦が報じられて間もなく、政府軍を後押しするロシアと反政府軍を応援するアメリカの仲介で、一時停戦状態になっています。アレッポの名前で上質のオリーブ油を原料として昔ながらの製法で作られている石鹸を思い出しました。日本の女性写真家が撮影した内戦前のシリアの風景やそこに住んでいる人々の生活の写真が放映されました。活気ある小ぎれいな町並み,予想外に緑の多い風土にオリーブ農園、彼女を気さくに自宅に招いてくれる心豊な人々。それが外国の勢力の介入により無惨に破壊され、百万人単位の難民がトルコ等の周辺国やヨーロッパの国々に避難しています。

明治維新の前には徳川幕府にフランスが付き、薩長にイギリスが付いて一歩間違うと激しい内戦になり、もしかすると日本は両国に二分されて植民地になって居たかもしれません。官軍と会津藩などの東北諸藩との戦いや西南の役などがありましたが、明治維新では全国に小学校を造りナンバー付きの高等学校や帝国大学などの教育制度を充実させ、鉄道などのインフラを整備し、郵便制度を全国津々浦々に普及させ、官営工場等で産業の振興を実行するなど、若くして近代化を成し遂げた明治の先輩を尊敬します。

「昭和になって何故勝ち目のない戦争を始めたのだろうか」と疑問を持ち、近代史を学び直しております。どうも帝政ロシアに辛うじて勝利してからの日本はおかしな方向に走り出したようです。明治時代に使っていた三八銃を第二次世界大戦中にも後生大事に使っていたり、ノモンハンでの惨敗の教訓が活かせなかったり、現実を厳しく科学的に直視し、失敗の原因を追求したり分析したりして,その結果を次に活かす仕組みがなかったのです。その傾向は現在まで引継がれています。東日本大震災で福島第一の原発が、津波の被害を受けて炉心のメルトダウンにまでは至ったのはまさにその好例です。

一方世界大戦で戦車や航空機が登場し、その威力を目の当たりにし、軍艦も石油がなければ動かせないことに一早く気付いたヨーロッパの列強は,第一次大戦で敗戦国になったオスマントルコを解体して、石油資源の眠っている中東の利権を我がものにしようと勝手に国境線を引きました。中東の石油が中東紛争の一番の原因です。9.11の同時テロに対して「これは戦争だ」と叫んでブッシュ大統領は,中東に兵を進めました。「中東を攻めたら100人のウサマ・ビン・ラーディンを生む」との警告通りになってしまいました。

アメリカやロシアも干渉を止めてシリアを含む中東に平和が戻ることを希望します。インターネット通販にアレッポの石鹸の紹介が溢れています。この素朴な石鹸を手にしたとき、内戦だけではなく外国の軍隊による空爆等で、罪のない平和に暮らすことを望んでいる幼い子供を含む市民が,多数殺傷されていることに想いを寄せたいと思います。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一