広義の「たれ」を支える素材

2016年08月21日

広い意味の「たれ」がお料理の風味を左右すると申しました。では「たれ」を支える素材にはどんなものがあるのでしょうか?食品の風味(英語ではflavor)は舌で感じる味と鼻で感じる香りの二つの作用があります。フレーバーと言いますと、ともすれば香り,においのことと考え勝ちでして、味のことは軽く見られています。元来英語のflavorは香りと味が一体となった概念を持っています。商品名「味の素」で知られているMSGもフレーバーエンハンサー(風味を引き出す,引き立てる物質)として立派にflavor物質の仲間に入っております。Flavorは食品香料で,化粧品や石鹸,香水向けの香料はfragranceと呼ばれて区別されております。

食品の調味には、食品香料、香辛料・ハーブ、農畜水産物から得られるエキス類(出汁やブイヨンも含む)を主体とする天然調味料および、味噌,醤油、魚醤、塩麹、醗酵バターやチーズなどの醗酵生成物などが素材として使われてきました。より美味しい食品を開発するには、まず第一に食材の質がよくなければなりません。蔗糖や果糖や異性化糖などの糖類、イオン樹脂で精製した食塩から岩塩などの塩類、オリーブ油やごま油やバターやショートニングなどの油脂類などが、食材に加える副食材として使われています。

上に揚げました素材は単品あるいは調合されて、風味を強化しメリハリを付ける目的だけではなく、本来は食材の好ましくない風味を隠すのに使われています。食品・料理は,第一に食材、第二に副食材、第三に素材を巧みに組み合わされています。煮る、蒸す、焼く、炒める、揚げる、塩蔵する、燻煙するなどの調理方法が組み合わされるので、食品・料理の種類は無限にあります。美味しい食品が新しく生まれる可能性は大きいのです。

私達人類は長い時間をかけて、住んでいる場所の環境に適応しながら今の食生活を創り上げました。日本列島は南北に長く、海に囲まれ、高い山が聳えており、四季があるので山海から得られる食材の種類は豊富で、季節に応じて旬の食べ物を楽しみ、微生物を利用した醗酵食品にも恵まれております。全国津々浦々に独自の郷土料理が発達している他、最近は世界中から食材、副食材、素材を取り寄せ、和食、洋食、中華料理等と世界中の食品・料理を楽しんでいます。日本ほど内外の多様な食事を楽しめる国はありません。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一