スパイス(Spice)とハーブ(Herb)

2016年09月13日

食品の風味付け(flavoring)には、香りと刺激味を持つ香辛料を使っています。香辛料には野菜や果物、生薬まで含まれています。自然界に存在する植物を、人間が勝手に分類しているだけですので、当然香辛料の定義はあいまいです。全日本香辛料協会の自主基準によりますと、「香辛料とは植物体の一部で、植物の果実、果皮、花、つぼみ、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎などであって、特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に香りを付け、消臭、調味、着色等の目的で使用し、風味や美観をそえるものの総称であり、スパイスとハーブに大別される」とあります。

「スパイスとは香辛料のうち、利用部位としては茎と葉と花を除くものの総称です」とあります。具体例としては、ニンニク、ショウガ、ナツメグ、シナモン、胡椒、唐辛子、山椒、柚子など。「ハーブとは香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものの総称です」とあります。具体例としクレソン、レモングラス、紫蘇、ワサビ葉、山椒の葉など。
 
苔から草木まで、香りや薬効のある有用植物をまとめてハーブとする場合もあります。ハーブテイとして風味を楽しみ、鎮静や興奮などの薬効も利用しています。近年は危険な乱用薬物の中にハーブと呼ばれる物があり「ハーブ」のイメージを損なっています。

香辛料は食材である魚や肉の臭みを抑えてより美味しくします。防腐や滅菌作用があると信じている人が多いですが、科学的な根拠はありません。日本には「薬味」、「加薬(かやく)」として、大根おろし、葱、紫蘇、芥子、生姜、山椒などが使われてきました。明治に入り西洋料理が伝えられて多数の香辛料が紹介され、中国やアジア、アフリカ、南アメリカなどからの香辛料も加わって、今では100種類を超える香辛料が知られています。

香辛料には単一の素材の「単品」もの、オニオン、胡椒、山椒,紫蘇、生姜,シナモンなどと、調合した「ブレンド」もの、ガラムマサラ、カレー粉、七味唐辛子、柚子胡椒などがあります。地域や調合する人によって配合比(レシピ)が違いますので、カレー粉の種類は無限にあります。カレーの木があって,その部位からカレー粉が採れるのではありません。「32種類のスパイスを使っているから美味しいカレールーである」と宣伝した会社がありました。多くの種類の色鉛筆を使って描いた絵が,必ずしも素敵な絵であるとは限らないように、使った香辛料の種類が多い食品だからより美味しいとは限りません。香辛料で食材と副食材を活かして、より美味しいお料理・食品を創るのが調理の技です。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一