映画「アオギリにたくして」を見て

2016年10月30日

小学4年生の夏、タプロイド版1枚の新聞で広島に新型爆弾が投下されたことを知りました。当時の噂では広島には今後70年間は草木が一本も生えないと伝えられました。爆心地から1.3km離れた広島逓信局の中庭にアオギリが4本あり、原爆の熱線と爆風を浴びて黒焦げになったものの奇跡的に3本は助かり、1946年春には芽を出し、1973年平和公園に移植され、そこから育てた苗木は「被曝アオギリ二世」と呼ばれています。

被爆した左足を麻酔もせずに切断された故沼田鈴子さんをモデルにした映画です。彼女は被曝者であるがゆいの差別を受け、お家に閉じこもっておられました。原爆投下直後に米国戦略爆調査団が広島市、長崎市で原爆記録を撮影したフィルムがアメリカ国立公文書記録管理局に保管されおり、それを市民からの募金で10フィートずつ買い取る「10フィート運動」とのご縁で「被曝アオギリ」の木の下で、被爆体験を語り続けられました。

今地球上には数万発の広島、長崎に投下されたより性能が大幅に向上した原子爆弾が米・英・仏・ロシア・中国の5核保有国で所有され,さらにイスラエル、インド,パキスタン、イラン,北朝鮮でも原爆保有の疑いがあります。これらの国々の指導者の中の誰か一人が核弾道弾の発射ボタンをおせば、この地球上の人類も含む生物は生存出来ません。

日本には50を超える原発があります。フクシマダイイチの明らかに人災と見られる事故が起きた直後は、原発を推進してきた自民党でさえ「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を2012年の衆院選挙の公約に掲げていました。この事故で,原発は冷却水を止めれば簡単に炉心溶融(メルトダウン)することが判りました。2千を超える活断層がある日本は、原発の立地として安全な場所はありません。外国では原発は軍隊に守られていますが、日本では自衛隊は警護していません。テロ分子が重火器を持って原発を襲い、冷却水を止めたらと想像すると生きた心地はしません。

原発から出る使用済みの放射能の高レベル放射性廃棄物を地中深く埋めて、10万年保管して無害化する案があります。例えば、フィンランドの「オンカロ」では地下およそ520メートルの深さまで掘り、使用済み核燃料に含まれる半減期が2万4千年で生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるにはおよそ10万年掛るプルトニウムを、それまでの間そこに貯蔵する案です。兵器としての原発は人類にとって大脅威であります。平和利用の原発も地震の多い日本では危険なエネルギー源です。風上の中国では150近い原発を新たに作ろうとしています。高速列車が脱線した時に地中に埋めたような国が、高い技術力と安全性を重視する思想を必要とする原発を私達の風上で作っているのは心配です。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一