それを言ったらおしまいよ

2017年02月10日

この地球上の総人口73億5千万人の中のトップ8人の大富豪(米国人6人、ICT関連4人)と下位の36億7千5百万人の所有する資産が同じ(4.260億米$=約49兆円)と言われる程格差が広がっています。グローバル化により賃金が開発途上国の安い賃金に向かって引き下げられ、ICTの進歩により単純労働が機械に置き換えられ中間層が没落する一方、コンピューターの中のお金のマネーゲームを享受できる連中が益々金持ちになっているからです。富裕層や大企業がタックスヘブンに税金逃れをしている金額は,7兆6千億米$=約874兆円で、その年間利子は約1,500億米$=約2兆8千5百万円と推定されています。

私が半世紀前に初めて訪れたニューヨークでは、人種や移住してくる前の国や言語、文化や宗教の多様性を超えて、互いに異質な相手に敬意を払い、認めあって暮らしているコスモポリタン(地方や国を超越し偏見に囚われない世界主義的)な雰囲気を感じました。仕事で度々日米を往復しアメリカに暮す人達と広く接する間に、自由・平等の建前の底に、拭い切れない強い差別感情があることも理解出来るようになりました。知性と教養のある人達は自制心をもって表立って「差別」を口にするのをはばかる良識は存在していました。
 
既にニクソン大統領の時代に南部や中部の州には「黒人やマイノリティの労働者の発言権が強くなり過ぎたので,アメリカ企業の採算は合わなくなり、アメリカ経済は弱体化した。白人労働者の職場が黒人やヒスパニック、アジア系移民などのマイノリティに奪われてたまるか。」との「White・backrush(白人の巻返し)」がありました。Poor white(貧しい白人)と言われる人達は、宗教の影響もありますが,ダーウィンの進化論を否定するなど反知性的であり、Color people(有色人種)の成功者へのねたみ,マイノリティへの差別感情等が強かったです。これをツイッターとヒトラーの合成語ツイットラーと呼ばれるトランプ大統領が遠慮会釈なしに公然とツイッターで発信し表に引き出しています。
 
没落していく中間層の鬱積してきた不満を煽って、イギリスはEU離脱の選択をし、アメリカはトランプ大統領を選びました。現実は理想通りではないので、どこの世界にも口にできない暗部を抱えています。「それを言ったらおしまいよ」が,次々とトランプ大統領によって公然と発信され,恐ろしい事にそれらが大いに受けています。

 事実とは異なる「Fake news(嘘偽りのでっち上げた情報)」が発信されています。トランプ大統領のtwitterの内容の4%しか事実ではないとの調査もあります。自分たちに都合の悪い情報は炎上させ、自分たちに快い情報のみを選んで仲間内で共有して拡散させ、それが真実であると強弁する「Post truth」の時代になりました。冷静に客観的な事実に向かい合うよりは、感情や個人の信条に訴えることが有効で影響力の大きい時代になったのです。Fake newsがSNSだけではなくマスメデアにも飛び交っています。情報の根拠が虚偽である、あるいはデッチアゲであると指摘されると「Alternative fact(別の真実)」と平然と切り返しています。

1947年に地球滅亡までの残り時間を示す「終末時計」が登場し滅亡まで7分前としました。70年後の2017年には2年振りに30秒進められて残り2分半となりました。これは核兵器増強を主張するトランプ米大統領の就任と、北朝鮮の核実験、地球温暖化を重大な原因としています。滅亡の日を深夜0時に見立て、核戦争の危機が高まると時計の針を進め、遠のくと戻してきました。米ソの核開発が進んだ1953年には2分前と最悪になり、米ソが軍縮条約に調印した1991年には17分前でした。3大核兵器所有国のトップがトランプであり、プーチンであり、習近平であるのを忘れてはなりません。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一