カカオ豆とチョコレート

2017年03月10日

3月14日はホワイトデーで、女性から愛を告白して意中の人にチョコレートを贈るバレンタインデーに女性から貰ったチョコレートに男性がお返しをする日とのことです。365日年中、国の中のどこかで祭りのあるお祭り好きの日本人ですから、クリスマスや最近はハローウインのような異国のお祭りまで,私達の特に若い世代の生活に定着しました。

私などはバレンタインデーと言うと、1929年2月14日に禁酒時代のアメリカのシカゴで起きた聖バレンタインデーの虐殺を連想します。暗黒街の帝王と言われたアル・カポネが、対立するギャングの構成員4名と一般人3名の計7名を殺害した事件です。

バレンタインデーの起源はローマ帝国時代に遡るとかいろんな異説があります。日本では戦前にもバレンタインデーとチョコレートの販売を結びつけた宣伝はあったようですが、女性から男性にチョコレートを贈る風習は1958年頃から盛んになりました。今では巧みな商魂でバレンタインデーはチョコレートの年間消費量の20%を販売する国民的行事になっています。小学校高学年から高校生の心を掴んだ事が定着の主因であります。職場での「義理チョコ」、女性から女性に贈る「友チョコ」、性別には関係なく、珍しい輸入物や高級品を自分のために購入する「自分チョコ」にまでに発展しています。

チョコレートはカカオ豆の成分であるカカオニブスとカカオ豆の油脂も含む油脂,砂糖,牛乳などを原料としており,飲み物であるココアを固めた食べ物です。カカオ豆は赤道直下周辺のアフリカ、南米、インドネシア、パプアニューギニアなどの開発途上の国々で栽培されています。栽培している農民は苛酷な条件下で働かされ、学童が就学出来なかったり、悪条件下で働かせられる児童労働の問題もあります。生産されたカカオ豆は国際市場の投機の対象となり、投機家達は一滴も汗を流すことなく、インターネットの端末を指先で操るだけで,巨万の富を稼いでいます。近年は地球規模の天候不順の影響でカカオ豆の不作が続き、投機と相まってカカオ豆の価格は高騰しています。しかし、価格高騰の恩恵は生産者に及んでいません。この状況は珈琲豆,香辛料の胡椒のケースでも同じです。

途上国の生産者の劣悪な労働条件や貧困、環境問題などの解決を目指し、適正な価格で取引する「フェアトレード」と言う仕組みが1960年代以降、欧米で広がっています。これは農産物だけではなく工芸品なども対象です。国際フェアトレード認証ラベルと世界フェアトレード機関(WFTO)加盟団体のマークがあります。これらの認証マークを使わずに、生産者に寄り添いきめ細かく支援して実質的にフェアトレードをやっている団体もあります。生産者に品質が良い豆は高く買う事を約束し、カカオ豆を醗酵させる技術を指導し、日本から消費者を生産地に連れて行き、生産者と消費者のお互いが顔の見える関係を築いて、こだわりのチョコレートを日本で製造,販売している方も居られます。

日本国内では,農畜産物の生産者が板前さんやシェフと協働したり、直接消費者の反応や要望を伺って、それらを栽培、加工に生かしながら、直接販売するケースが増えております。ICTの発達で生産者と消費者との間に双方向での情報の交流が簡単になりました。横浜市では農地と住宅地が隣接しており、農畜産物の「地産地消」が巧くいっています。横浜市では「地産地消」を推進する「はまふうどコンシェルジェ」制度があります。「はま」は「横浜」を意味し、「ふうど」は「風土」と「Food」の言葉を掛けてあるようです。

ICTのお蔭で消費地から遠く離れた生産者も、ご自慢の農畜産物やそれらの加工品をウエブ上に発表して、その内容や商品に魅力を感じたお客様に通信販売するケースも増えています。情報はネットで即時に送れても、モノはアナログな人手のかかる手段で送るしか方法がないのが泣き所です。一種の公的なインフラになっている宅配便が,配達数量の急増と配達時のお客様の不在と配達員の人手不足で崩壊の危機に直面しています。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一