日本の食糧事情

2017年05月01日

3月下旬に中堅のセメントメーカーの社長会の席上で首題についてお話をする機会がありました。5月上旬には横浜に集まる高齢者のサロンで首題を討議する予定です。食べ物の話は関心の高い話題ですから議論が盛り上がると期待しています。良い機会ですので簡潔にまとめてみました。

私達は80歳まで生きると約40トンの食べ物と約60トンの水を飲食すると言われています。勿論新鮮できれいな空気も必須です。余計なことを削ぎ落とすと、「生きる事は食べる事」です。人生は空気を吸い肺の末梢の肺細胞の中で酸素を二酸化炭素と置換して排気し、水と食べ物を摂り消化吸収して化学反応させ、不要なものを排泄しつつ、子孫を残すに尽きます。最近私は高齢者専用の集合住宅や老健施設を頻繁に見学させて頂いております。これらの施設の入居者の生活の質を高く保つ究極の3つの仕事は、入居者の食事、排泄、入浴の手助けをして身体を清潔する3点に尽きます。これらの施設を評価する基準は、これら3点のサービスが最低条件を満たしているか否かの検証です。

わが国の食糧の自給率は先進国や人口が4千万人を超える国々の中では最低で、カロリーベースで39%と言う危機的状況にあります。農業,畜産業,漁業,林業などの第一次産業で働いている方々の人数の激減と高齢化により、食糧自給率のさらなる低下を加速しております。一方では年間5兆5千億円もの食糧を輸入していながら、ほぼ同量の食品を食べられるのに食べずに廃棄している事は大問題です。防衛予算は5兆円です。世界中で貧乏国に支援している食糧の金額の約3倍にもなります。

世界中から美味しい食糧を買い付けている飽食の時代なのに、先進20ケ国中でアメリカとブービー争い(下位争い)をしている科学的Literacy<知識・素養>の低さにより、日本国民は敗戦直後よりひどい栄養失調状況です。その原因は(1)「過度のやせ」願望(特に若い女性)による低栄養の結果、不妊や不健康な子どもが生まれたり、中年になると確実に骨粗鬆症になり、寝たきり老人の激増をもたらします。(2)高齢者の低栄養、高齢者は「加齢」と共に食が細くなるのと、「年寄りは肉を食べるな」との嘘の栄養情報に騙されタンパク質が不足勝ちで「老化」して虚弱(フレイル=筋肉が落ちる、抵抗力が落ちる状態)になります。(3)18歳未満の子どもの6人に1人は、貧しい為に十分に食べれないと言う信じられない現実があります。若い頃の低栄養は「老化」を促進し、要介護につながり「健康寿命」を確実に縮めます。PPK(ピンピンコロリ)でなくNNK(寝んねんコロリ=長く寝たきりになってから死ぬ)になります。

これを解決するには正しい「食育」が必須となります。マスメデアやネット上に氾濫する健康や食事に関するデタラメな情報(Fake news)の中から、健康を保って生き抜いていく為に正しい情報を選んで、理解し実行する能力を養うことです。科学的な論証(Evidence)なしで、怪しげなトクホ、機能性食品などのいわゆる”健康食品”に頼ったり、有機農法を過分に評価したり、養殖より天然を信仰する傾向があります。添加物や残留農薬、遺伝子組み替え食品など食品の安全と安心についても科学的Literacyの高い「食育」によって正しく理解する事が求められています。

「食育」とはご自分自身の食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を正しく、楽しく身に付ける事です。毎年6月は「食育月間」で、6月19日は「食育の日」です。食育の課題は性別や年代、体型、ふだんの運動量、食習慣、考え方などにより各人それぞれ異なります。ご自分やお家族の健康、大きく申しますと日本国の為にも科学的Literacyを高めて食育を学びたいと思います。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一