偽情報(Fake news)と科学的素養(Scientific literacy)

2017年05月20日

SNSの発達で新聞社、出版社、テレビ・ラジオなどのマスメデアだけではなく、個人が簡単に情報を発信出来る時代になりました。事件の現場写真を一般人がスマホ等で撮影した写真がマスメデアによる写真より前に瞬時に世界中に発信されています。知識の不足や情報操作を目的としてマスメデアの情報にも真実でないニュース(フイェークニュース)が溢れております。お金儲けのために、読者の関心を惹き付ける目的で過激なフィェークニュースを発信する不埒な輩が世界中に発生しました。

溢れかえる情報の中から自分に都合の良い心地よい情報だけを選択し、それらを信じ、それらを拡散したり、同類の仲間と固まり、それらのフィェークニュース以外の情報は受け付けない「たこ壺」に入った状態に陥っております。民主主義は、情報を隠すことなく公開して、それに基づき異なる意見を持つ人達が、互いに自分たちと異なった意見に耳を傾け、穏やかに話し合って物事を進めて行くのが原則です。自分たちにとっての異見、異端を一切無視し、その情報が真実であるか否かも検証せずに、意見の異なる人達と互いに罵りあっているのはまさに民主主義の危機であります。わが国の国会討論のテレビ中継を見ていますと、わが国の民主主義が危なくなっている危険を感じます。

フェークニュースに対して「それは事実ではない」と指摘されても、具体的には反対せず、フィェークニュースを流した側は「その指摘こそがフィェークニュースである」と平然と答えております。昨年11月のアメリカ大統領選挙、今年4月23日のフランス大統領選挙でも、特定候補を攻撃するフィェークニュースを使ったネガティブキャンペーンが何度も仕掛けられました。ハッキングやフィェークニュースで情報戦争を仕掛けて、よその国のトップに自分達にとって都合のよい候補者を勝たせようとした国の存在も明らかになりました。明らかに情報通信技術を駆使した内政干渉です。

食と健康に関する情報でも、一見科学的な証明があるかのように見せる「エセ科学」に基づく間違った情報が沢山流されております。科学用語を散りばめながら実際は全く非科学的です。血液型でその人の性格がわかるとか、マイナスイオンを浴びると健康になるとか、酸性食品を食べると血液が酸性になるとか、アップルのステーブ・ジョブ氏が癌治療に採用し後で悔やんだ食事療法などの代替医療にもニセ科学が多いです。水に「ありがとう」と話しかけて凍らせるときれいな結晶が出来るとか、放射能をまき散らすので福島からの避難者に近寄るな等とんでもない非科学的の例が沢山あります。

“いわゆる” 「健康食品」については、その有効性を科学的に証明する検証データが不十分であるとか、有効とされる成分の含有量が基準値より少ないとか、怪しい商品が多数売られております。一例をあげますと、膝などの関節痛を緩和したり、肌がスベスベするとされているコラーゲンはタンパク質です。タンパク質は人間の口から入るとタンパク分解酵素が働いてアミノ酸にバラバラにされます。アミノ酸は24種類あり、アミノ酸の組成やくっ付く順番により、人の肉になったり豚肉なったりします。コラーゲンを口から入れる(経口摂取)すると、ばらばらなアミノ酸になりコラーゲンではなくなります。コラーゲンの分子量は大きいので、肌から吸収されることはありません。コラーゲン入りのクリームをつけると、肌がスベスベするのはクリームの保湿剤が効いたからです。

無効どころか “いわゆる” 「健康食品」の中には有害なのもあります。特に海外からのネット通販は要注意です。死亡事故も出ております。情報の受け手は自分が信じたいものだけを選ぶのは昔も今も同じです。裏付けのある客観的なデータより、長年の自分の思い込みのほうを信じ勝ちです。食と健康はご自分やお家族の健康・生死に関わる根幹的なことです。科学的素養を養い、偽情報の大海の中から正しい情報を選び抜く力を付けなければ生き延びれません。「エセ科学」に騙されるなです。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一