エセ科学に騙されるな — 科学的素養(Scientific literacy)

2017年06月12日

科学的素養のliteracyとは、読み取る能力、読み書きの能力、教養・教育があること、知識能力を意味し、日本語で一つの言葉で表すのは難しいのですが、この文章では「素養」と表現しました。「科学する心」とは「仮説を設定し、その検証を繰り返すことにより真実を見極めようとする姿勢です」。あらゆる情報をそのまま鵜呑みにせず、事実の材料を基にして、確からしさを検証し続ける姿勢です。これは科学的な課題だけではなく、社会的、経済的、政治的な課題を解決する上にもその積み重ねが欠かせません。マスメディアやネット上に偽情報(Fake news)が溢れている現代で生き残るには、科学的素養を身につけるのは必須条件です。

大量に溢れている情報から「自己責任」で判断して選択しなければなりません。不動産選びや資産運用や旅行などで代理人を雇うように、科学の領域では専門家である科学者か、多数の情報を集約してくれるマスメディアに頼るしか選択肢はありません。「メディアは科学を正確に伝えない」と科学者は非難し、「科学者は非専門家が判るように話さない」と反論しています。

自然界には完全な100%とか0%即ち「絶対」は存在しません。科学者は「◎◎は絶対にあり得ない」とは言いません。京都女子大小波秀雄教授によると、科学者の言い方と一般人の受け止め方に次のような違いがあります。科学者が「~ほとんどない」と表現したら「絶対ないんだよ」、それを一般人は「やっぱ、あるんや」と受け取ります。科学者の「~は確率的に極めて低い」は、「起こる訳がないんだよ」を意味します。それを一般人は「やっぱ、起こるんや」と解釈します。「さまざまな問題に対して白黒つけてくれる」のが科学だと思い込まれています。しかし「はっきり白黒つける」が「エセ科学」の特徴です。本当の科学者はいろいろと前提条件を付けてはっきりと断言しないので一般の国民の期待を裏切っています。ここにつけ込んで、魑魅魍魎(ちみみょうりょう)の水ビジネスやTV番組で捏造した結果を利用した食や健康に関する怪しい情報が流されるのです。

怪しげな商品でも売る人は必死です。「エセ科学」で騙す商品の説明や売り文句には、いくつかの共通するキーワードがあります。「波動」、「共鳴」、「クラスター」、「マイナスイオン」、「エネルギー」、「活性」などです。「マイナスイオン」を除けば、これらの言葉は科学で使われています。ただし「エセ科学」では本来の科学的な意味とはズレたり変えたりして使われています。科学的な雰囲気を持つ言葉を散りばめることで、科学への理解が浅く、科学的雰囲気に弱い人達の心理を効果的についてくるのです。これらの用語の使い方を冷静に見ると本物の科学と「エセ科学」とを簡単に見分けることが出来ます。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一