無添加食品は安全か — 食品添加物の効用

2017年07月11日

健康と生命を維持する為に私達生物は,食物と水と空気を外から取り入れ、不要物を排出しています。食物も元来は私達にとっては異物です。医薬品とは異なり,食品については安全性の検証は行なわれておりません。人類の長い歴史の中で先人が多くの犠牲を重ねた結果,有害ではない食品が選ばれてきたのです。食品中には天然物由来のフグ毒や毒キノコのように危険な化学物質が含まれている事があります。化学物資の有害性は天然であるか人工合成物であるかは全く関係はありません。

食品中に危険な微生物が存在する場合は少なくありません。食品中の微生物の増殖によって起こる食中毒は、日本で発生した食中毒の90%を占めています。食品添加物である保存料は、微生物の増殖を抑え、品質の劣化や食中毒を防ぐ効果があります。野菜は土壌にもいる腸管出血性大腸菌などに汚染されている可能性があり、サラダ用に販売されているカット野菜は、殺菌料で処理されていなければ危なくて食べられません。食品衛生法で規定された殺菌料を使用した後には、水で洗い流して野菜に残存させてはならないと規定されています。科学的根拠に裏付けられた上で,食品衛生法で定められた処理がされているから,私達は安心してカット野菜を生で食べられるのです。

ハム・ソーセイジや鱈子の製造工程で,発色剤として亜硝酸塩を使用しています。亜硝酸塩は体内でアミン類と反応して、発ガン物質の一つであるニトロソ化合物になるから、一時発色剤不使用のハム・ソーセイジや鱈子が生協などで売られていた事がありました。日本では窒素肥料の多用のため田畑の土の中に亜硝酸根が多く残留しています。それが稲や野菜に吸収され、お米や野菜とともに体内に摂取されている事実は不問にふされております。この危険度に較べたら,発色剤を使ったハム・ソーセイジや鱈子を食べる危険度の方が全く低いのです。発色剤には食品の色を良くし、肉の臭みを抑え、ポツリヌス菌の増殖を抑える効果があります。

1947年に食品衛生法が生まれて、食品添加物が規定されました。当時は審査が甘く食品添加物として認可されていた人工甘味料のチクロやズルチン、豆腐や魚肉ハム・ソーセイジに使われていた保存料AF-2に、認可された後で発ガン性があることが判りました。その時の大衝撃が「食品添加物は体に悪い」と強烈に印象づけられました。ここでは詳しくは申し上げませんが、現在は食品添加物は厳しい審査に合格し、その使用方法は食品衛生法で厳しく規制されております。

食材が地球の果てから集荷され、加工された食品が長距離輸送される、食べ物の産地と消費地とが遠く離れた現代では、食品添加物は食の安全と私達の健康を守る為に大きな役割を果たしています。食品添加物より危険なのは、正しい知識に乏しい消費者が「食品添加物は体に悪い」と思い込んでいるのに便乗して、儲けようとする宣伝文句です。食品衛生法を守って食品添加物を使用している食品は、無添加,天然を謳い文句にしている食品よりも格段に安心です。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一