人生100年時代(その6) — 在宅医療・介護

2017年12月10日

私の勤労感謝の日の一日掛かりの行事になっているのですが、全国から千人を超える受講者が集まる「第13回在宅医療推進フォーラム」に参加しました。副題は「平成30年度在宅医療・介護連携推進事業の完全実施に向けて」でした。在宅医療・介護の推進に努めている医師、歯科医師、看護士、薬剤師、各種療養士、ケアーマネージャー、ホームヘルパー、介護福祉士等や、医療施設や介護施設・老人ホーム等の経営者、および自治体、保健所や地域包括ケアシステム等の行政関係者など医療・介護に関連する方々(ステークホルダー:stakeholder)と、在宅医療に関心のある一般の方々を対象としたフォーラムです。主催者の中核である(公財)在宅医療助成 勇美記念財団は住野勇氏が私財を投じて創立しました。厚労省も活動を支援しています。

私が最初に参加した2011年の第7回の時点では熱意があり志のある主に医師を中心とした限られた活動で、日本各地に点在する段階でした。現在は財源不足、人手不足,施設不足が生じているので、国も在宅医療・介護を推進しています。地域住民が主体性をもつ地域包括ケアの普及とか、掛かり付け医を増やして在宅医療の体制の充実を図るとかです。病床を減らすと共に,入院の期間を短くする政策をとって、医療・介護共に病人、要介護者を施設よりも居宅に移そうとしています。その結果、在宅医療・介護、在宅看取りの体制は、点から面に展開しつつあります。

フォーラムでは全国を11ブロックにわけ、各ブロックから、医療・介護に関わっている多くの職種の方々が、連携し、ICTを活用した在宅医療・介護の沢山の事例を発表しました。「医師等からの高い目線ではなく、死に行く人達の目線で」の発言が印象に残りました。しかし、在宅医療・介護の現場ではそんな綺麗事だけではすみません。一つ一つ解決して行かなければならない課題が山積している実状が語られました。

多職種のコミュニケーションが巧くいかないケースが多く悩んでおられる様子でした。とりわけ医師と他の職種との間にコミュニケーションを阻む強固な壁が存在しています。成功事例では多様な職種の人材をまとめあげ、それぞれに活躍させ得る人材が存在しています。中核となる人材には医師が多く、結局は中核となる方の人となりに尽きます。

在宅医療・介護を進めるには口腔衛生で摂食障害や誤嚥を防ぐことが出来るので、歯科医師の役割がより重要になり、掛かり付け薬剤師の働きも重要になります。薬剤師の指導で、飲食物や薬を飲み込めなくなった患者を、歯科医師や口腔科の医師に紹介して改善したり、薬の飲み忘れを80%改善した事例が紹介されました。誤嚥性肺炎による死亡数は約5万人、年間約500億円の薬が飲まずに捨てられているとのことです。 

医療・介護機関の役割だけではなく、地域に根ざした訪問看護士、在宅医の充実と地域包括ケアセンターの役割が益々重要になります。健康寿命を伸ばす努力をする「自助」、地域で見守り助けあう「共助」が、災害に備えるだけではなく医療・介護でも大切です。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一