人生100年時代(その10) — 人工頭脳(AI)の影響

2018年01月22日

今年は明治維新から150年目に当たるので、「近代化が進んだ明治維新」に学ぼうとの復古調の動きが出ています。明治時代と少子高齢化の現代とでは国の姿は全く変っており、太平洋戦争(1941年〜195年)を挟んでその前と後では大きな違いがあります。340万人の同胞を含む6,000万人の死者の犠牲で生まれた戦後民主主義を更に発展させて、弱者をなくして全ての国民が、幸せに暮らせる日本を造って行きたいと思います。

平成の御代も一年余りで終ります。この30年間を回顧すると同時に、これを折り返し点として、これからの近未来30年間を想定してみたいと思います。それには人工頭脳(AI)やSNSやIoTなどの情報通信技術(ICT)の進歩の影響を考える必要があります。

今やAIはデータを読み込んで自分自身で学習する「深層学習(Deep learning)」でその能力を自ら高めています。この中核をなす装置の技術や,データを集める力では,誠に残念なことに米中の企業がわが国の企業を遥かに先行しています。

モノ作りの現場ではAIを備えたロボットに取って代わられ、ロボットを管理する高度の技能をもつ専門家が生産現場を担当するようになります。さらにわが国に多い学歴も給料も高く、優秀とされて来た事務職が失職し大きな社会問題になると言われています。臨床医、弁護士、公認会計士など高度な専門家の仕事の一部もAIに置換されつつあります。英オックスフォード大学や野村総研は、10〜20年後には日本の労働人口の約39%がAIに置換される可能性があると推計しています。

一方AIは人口減少による課題を解決する強力な道具になるとの見方があります。世界一の人口を持つ中国でも、一人っ子政策の影響で少子高齢化が進み労働人口が減っており、中国のバイヤーが日本のAI、ロボット技術に大きな関心を寄せています。スピーディに決断する人達ですから、AI、ロボットの導入は日本よりも急速に進む可能性が高いです。

ニューヨーク市では、職員の採用,人事評価、福祉手当の発給等にAIを使っています。
問題は、「深層学習」では結論に至った過程が不明なことです。例えば,将棋ではAIは数億通りの指し手からベストの指し手を瞬時に選択しますが、AIは何故その手を差したかを説明出来ないことです。「機械によって選別されていることも知らされず、そこに欠陥があって不利益を受けたとしても、それを知りようがない」ことは不気味です。

新井紀子国立情報学研究所教授によれば、「AIは統計等を使って機械的に答えを出すだけで、物事の意味をわかっていない。その意味を理解し、適切に状況判断出来る能力を養うことが、人にとって大切だ」。基本となるのは、正確に読み、正確に書く、「読み書き算盤」が、デジタル時代ではもっと重要になります。メール等の文字情報のやりとりが仕事に占める割合が高くなり、誤読や表現力不足によりつまずく事が多いからです。

食と健康のコンサルタント 渡邉 憲一